Heaven


『そっか…この言葉聞いた婆ちゃん、なんて思うかな?嫉妬したりして』

冗談混じりにこう笑って言う俺。
爺ちゃんは俺の言葉に歯を見せて笑った。
その姿があまりにも素敵すぎて…、見とれてしまう。


『笑は怒らないよ。俺の全てを受け入れてくれた人だからね。笑顔で《行ってらっしゃい》って言ってくれるんじゃないかな?』


爺ちゃんも、
婆ちゃんも、
なんて強い人なのだろう。

俺だったら止めるに違いない。
無機になって、無理矢理抱き寄せて、『行くな』と叫ぶだろう。


だけど爺ちゃんと婆ちゃんは違った。
お互いを理解し合っているからかな…。
尊敬をしてしまう。



『俺も強い人になりたいな…』



『雅、《人生》っていう意味知っているか?』


突然の質問で戸惑ってしまう。
だが俺は頭をフル回転させ、意味を考える。


『人が生きること…とか?』



『それもあるな。だけどな、俺はこういう意味だと思うんだ…』




…爺ちゃんは大切なことを教えてくれた…。
これは爺ちゃんの優しさのひとつだったのかな…


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