Heaven
風が優しく吹いていく。まるで世界が口笛を吹いて楽しそうにハーモニーを奏でているように。
『人生は《人の為に生きる》という意味だと思う』
《人の為に生きる》
だから《人生》
爺ちゃんは胸を張ってこう言った。
その言葉に心が揺れる。なんて綺麗なのだと。
『…人の為に生きる…』
『そうだ。俺は笑や家族のために生きた。でも向こうの世界では嘗て愛した人の為に生きたいと思ってる。…雅は、誰のために生きたい?』
…俺は誰のために生きたいだろう?
別に悩む必要などない。
俺は…キミのために…。
『…好きな人のために生きたい…』
次第に涙が込み上げてくる。
爺ちゃんの言葉が素直に胸に突き刺さって、それは心にあった深い傷を癒やしてくれるようで。
あなたは誰の為に生きたいですか?
俺は…愛する美羽のために…生きたいです─…。