Heaven
俺は涙を拭いて、
街の景色を脳に焼き付ける。
この景色を次は美羽と見ようと決めたのだ。
そして美羽の誕生日にここを訪れよう。
美羽は喜んでくれるだろうか?
…それから俺と爺ちゃんが夕方になるまで、ずっと話していた。
辺りがオレンジ色に染まる。
俺が話したことは学校のことがほとんどだ。
『1年2組になり、真ん中の列の前から4番目の席になった』と言うと、爺ちゃんは『さすが俺の孫だ』と言っていた。
そういえば入学式の時にもそんなようなことを母さんに言われたっけ。
この秘密の場所から見る景色は、夕方が一番綺麗なのだ。
街がオレンジ色に染まり、夕日は地平線へと沈み、今度は月と変わる。
それが幻想的で感動をする。
『俺、爺ちゃんと話せて良かった!なんか心がすげぇ軽くなったよ!ありがとう!』
『いいんだよ。雅が元気ならそれでいい』