Heaven


ここで俺の運命が動きだす。
爺ちゃんの運命が変わったように─…
父さんの運命が変わったように─…

1年2組の教室で、真ん中の前から4番目の席で。
またひとつドラマが始まる。


俺とヒカルは自分の指定された席に座る。


『雅、もしかして気にしてんの?まだ』


ヒカルは後ろを振り返り、下を向く俺の顔を覗き込んだ。

気にしないと言ったら嘘になる。
だけど気にしてると言ったら少しだけ嘘になる。
美加のことは気になるが、それ以上にもっともっと気になる人がいる。

それは天使のような彼女のこと。


『気になるっていうか…あんまり会いたくはない…』


『忘れろって!俺も彼女作らなきゃな…』


忘れろ?
忘れることなんか出来ねぇよ。
だってすぐ忘れられるような恋愛をしてきたわけじゃない。
沢山思い出があるのだから。


唇をぎゅっと噛み締めて、頭の中で色々考えていると、隣の席から椅子を引く音が聞こえた。


ちらっと横を見ると、
サラサラな長い髪の毛が目に映った。


まさかと思った…



『あ…』


キミが─…



天使のようなキミが─…



高木…美羽…



< 38 / 424 >

この作品をシェア

pagetop