Heaven
~13.Heaven~
《最後は笑の名前を呼びたい。そして行ってきますと言って眠りたいな》
今日、爺ちゃんはこう言ったよね。
どうしてそんなことを言ったの?
自分がもうすぐ、消えるから?
もうすぐいなくなるから?
爺ちゃん…、あなたはもう永遠に眠ってしまったの?
全身の力が抜けて、頭の中が真っ白になる。
ただ呆然と立ち尽くして、瞳から滝のように涙を流す。
電話の相手は婆ちゃんだった。
その声は慌てていて、早口に言葉を並べていた。頭の中をぐるぐると廻る言葉。
《優が心臓麻痺で…亡くなった…》
嘘だと思った。
冗談だと思った。
嘘にしては上手く出来ている。
冗談にしてはいい冗談ではない。
だって…
つい二時間前まで、あんなに眩しい笑顔を見せていたのに?
楽しく話して、
俺の背中を押してくれたじゃないか。
それに─…
人生の意味を教えてくれたじゃないか…
なのに─…、
なのに─…、
どうしてだよ…