Heaven


喉が痛い…。
きっと泣きすぎが原因だろう。
でも泣くことしか出来ない。


そして別れ際、爺ちゃんが残した言葉を思い出す。



《この世界に生まれてきて、幸せすぎた。
ありがとうな、雅》



爺ちゃんはきっと分かっていたんだね…。
だから俺にこんなことを言ったのだろ?


なのに俺は…
爺ちゃんになにも言えなかった。
《ありがとう》とたくさん言っておけば良かった…


爺ちゃん、向こうの世界で嘗て愛した人に逢えましたか?


そしてその人のために生きていますか…?



車の発進する音が聞こえてくる。
俺は耳を塞いで、唇をぎゅっと噛み締めた。


あんなにも元気だったのに…。
どうして人間は簡単に動かなくなってしまうのだろう。


誰か、教えてください…

俺にはまだ分かりません。

爺ちゃんは俺にたくさんのことを教えてくれた。

俺は誰に感謝をすればいい?



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