Heaven
最後の最後まで俺のために、いろいろ残してくれたね。
やっぱりあなたは素敵です…。
書斎に入ると、俺は圧倒される。
壁一面に貼られた写真たち。
その中でも一番輝いて写る写真があった。
それは秘密の場所から撮っただろう、街の写真。
日付を見てみると、
かなり古いものだ。
でも色褪せなどしていない。
『話ってなに?』
俺はソファーに座り、
立っている婆ちゃんを見上げた。
婆ちゃんはデスクの引き出しから何かを取り出している。
それは、爺ちゃんの大切なものだった。
『優に言われたんだよ。自分が死んだとき、これを雅に渡してくれって』
それは…
爺ちゃんが大事にしていた…カメラだった。
俺は迷わずカメラを凝視してしまう。
なぜ…?
俺に…?
『雅は俺の後を継いでくれるって…優が言っていたよ…』
爺ちゃん…。
昨日も言っていたよね。
《雅は俺のあとを継いでくれるって信じている》