Heaven
俺はこの手紙を読み終わったあと、涙を流しながら、小さく微笑んだ。
『爺ちゃんは本当に幸せだったんだね…』
百合さんに愛されて、
婆ちゃんに愛されて。
百合さんを愛して、
婆ちゃんを愛して。
いつも笑顔でいることを忘れずに、秘密の場所から百合さんを見上げていたんだね。
『何で?』と質問したらきっと爺ちゃんはこう答えるだろう。
『百合との約束だったから』
百合さんは幸せだね。
すると引き出しにはまだ何かが入っていた。
それは一枚の色褪せた写真。
それに写っていたのは、学生のころであろう、爺ちゃんと…一人の女の子だ。
きっと…これが百合さんなのかな?
二人は写真の中で、溢れるくらい眩しい笑顔を見せている。
幸せだとすぐわかる。
俺はそれを見て、写真に涙を垂らして、
最後に…
最後に…
二人に笑顔を見せた─…