Heaven
違う世界でも愛を育ててください。
二人でしか築けない、
大きな愛を─…。
『行ってらっしゃい…爺ちゃん…』
俺は泣きつかれたのか、デスクの椅子に座り、体を倒して眠りについた。
夢の中に爺ちゃんと幼い女の子が手を繋いで歩いていた。
『雅─…行ってきます』
笑顔で手を振って、光が溢れる場所へと二人は姿を消していった…
どうか…どうか…
幸せになってください…
気がつくともう辺りは暗く、どうやら夜になったらしい。
俺はゆっくりと起き上がり、写真と詩集、それと手紙をデスクにしまい、鍵を掛けた。
そしてカメラを大事そうに抱えて、みんなのいる場所に向かう。
もう通夜が終わってしまったみたいだ。
片付けの作業に入っている。
爺ちゃんの遺影に視線を移すと、爺ちゃんは写真の中で笑っていた。
最後まで笑っていた…。