Heaven


爺ちゃん─…
あなたは幸せだったんだね─…。


俺も爺ちゃんのように、みんなから愛される人になりたいよ。

爺ちゃんからもらったカメラ、大事にするよ。


それで沢山写真を撮るからさ。


爺ちゃんと約束したように…
俺のために笑ってくれる人の写真を撮り続けるよ。


真っ青な空に誓った俺の想い。


爺ちゃんは聞こえたかな?


ありがとう…
ありがとう…


俺は置いてあったカメラをレンズ越しに覗く。

これが俺のスタートだ。

そしてゆっくりとシャッターを押した…。



爺ちゃんは白い百合の花に囲まれて永遠の眠りについた。
式場は涙で溢れていたけれど、俺は泣かなかった。

泣かないと決めたから。

火葬された爺ちゃんは、とても小さくなってしまったけれど、幸せだったに違いない。


天にある楽園で、
もっと幸せを育んでください。


隣にはあの人がいて…
笑顔があって…


そして永遠を誓う、
口付けをしてください…



行ってらっしゃい…


爺ちゃん…。



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