Heaven
覚えていて欲しかった。たとえそれが冗談だとしても、そんなことを言って欲しくはなかった。
なぜ?どうして?
俺は負けず嫌いな性格。だから再び話しかけた。
『記憶力悪いなら仕方ないな…じゃあさ、なんて読むの?』
『は…?』
彼女は呆れた言葉を漏らす。
そして俺を睨みつける。俺のことが嫌いなのかもしれない。
だけど俺は負けたくない。
キミに近づきたいから。
『高木…みはねって読むの?』
これ以上彼女が不機嫌にならないように、俺は笑顔で彼女に聞いた。
すると彼女は目を見開いて、真っ直ぐ俺を見つめた─…
初めてかもしれない。
キミにこんなに真っ直ぐ、見つめられたのは…
『…どうかした?』
何も話さなくなり、ただ俺を見つめている彼女を不思議に思う。
その次の瞬間、
キミはこう呟いた。
誰かの名前を─…
俺の知らない…
誰かの名前を─…
『…り…く…』