Heaven
俺は最後に美羽と呼びたい。
そしたら安らかに眠れそうだから…。
俺は点滅する信号を確認して、勢いよく道路を渡った。
後ろからは美羽の声が聞こえてくる。
『雅!!』
…その時だった─…。
俺は馬鹿でした…。
鈍い音が街中に響き渡る。
耳に残る急ブレーキの音。
止まる、世界─…。
俺は恐怖を抱えながら、後ろを振り返る。
そこには、ぐったりと倒れ、白いワンピースが赤いワンピースに色が変わっている…
美羽の姿があった…。
『…み…う?』
俺の問いかけに、返事はない。
飛び交うクラクションの音。
ざわめく通行人。
俺は勢いよく走り出した。
美羽のもとに…。
広がる鮮やかな血。
ワンピースにつく血がバラのようだ。
俺が…俺が…。
お願いします…
美羽を奪わないで…。