Heaven
りく─…?
それは誰─…?
俺の名前は雅だ。
りくではない。
何かの間違いだろうか?
『…りく?』
彼女に聞くと、彼女の瞳から一粒の滴が流れ落ちていった。
透明で、太陽の光に反射した、綺麗な涙が─…
その涙に戸惑ってしまう俺。
いきなり泣かれてしまったら、俺が何かしたようだ。
『え…なんで?』
俺が彼女をなだめようとした時、彼女は急に立ち上がり、教室から出て行ってしまった。
罪悪感だけが募る。
頭の中には彼女の涙と、彼女が間違えて名前を呼んだ『りく』という二つのことだけが残っていた。
『なんだ?あの子』
俺達の様子を見ていたヒカルが一言呟いた。
『俺…なにかしたかな…?』
体を前へと向けて、ヒカルに聞く。
ヒカルは『大丈夫だろ』とだけ言った。
大丈夫なのかな?
気になって仕方がない。
そんな中、俺とヒカルに誰かが話しかけてきた。その犯人はヒカルの隣の女の子。