Heaven
それは梅雨明けをした夜のことでした─…。
美羽がまたこの世界に帰ってきてくれた─…。
俺は勢いよく家を飛び出して病院に行く。
早く美羽に逢いたくて…
この想いだけが強くなっていく。
近づく、美羽との距離。真っ暗な病院に、俺の足音だけが響く。
《高木美羽》というプレートを確認して、俺はドアを開けた。
『美羽…』
部屋は電気が点いていて様子がはっきりと分かる。
ベッドには、俺を見て優しく微笑む…愛しいキミの姿がありました…
『…雅、ただいま…』
俺は美羽に駆け寄って、強く…強く…抱きしめた。
もう離さない…
もう離さないから…
美羽の華奢な体からは、温かい体温が感じられる。
美羽の髪の毛にキスをする。
次に額、次に頬。
見つめ合う二人。
美羽の瞳からは涙が溢れていた。