Heaven
芽生えそうだった気持ちは、すぐ枯れてしまったようだ。
気になったのは、ただ屋上から落ちてしまいそうで気になっていただけかもしれない。
きっとそうだ…
この気持ちは─…
天使のような彼女に対しての気持ちはもう育つことはない。
きっと、きっと。
ヒカルと美加を見ていたら、自分が惨めに思えてきた。
馬鹿らしくて。
深い意味はないのに、ただ普通の会話をしているはずなのに、ヤキモチを妬いている自分が、本当に馬鹿にみえた。
でも苦しいのは間違いない。
俺は視線を二人からずらし、もう一つのドアから出て行った。
苦しくなった胸を押さえて、入学式に向かう生徒たちの波にのる。
流されていく体。
視界が涙でぼやける。
今日は最悪だ。
朝からいいことがない。美加には振られ、
天使のような彼女には、『悩みなさそう』と馬鹿にされ、
俺を振った美加はヒカルと楽しそうに話しているし…
もう嫌だ─…