Heaven


『あんまり呼んで欲しくないの。余計なものまで思い出されるから。それにこの名前嫌いなの』


美羽は突然不機嫌になり、俺にこう言った。
俺は美羽の言った言葉に疑問をもつ。

余計なもの?
余計なものとはなに?

名前が嫌い?
何で名前が嫌いなの?

親から一番初めにもらったものなのに…何故キミは嫌いだというの?


『名前、嫌いなの?じゃあさ!俺が好きにさせてやるよ!』


物静かな体育館に俺の声が響き渡る。
その声を聞いた生徒や先生の視線が一気に俺へと移る。

ふと、沢村先生を見ると、先生は『ばーか』と口を動かし笑っていた。

急に恥ずかしくなる俺。慌てて口を抑えるが、今更意味がない。

どこからか笑い声も聞こえてくる。


『あんたって本当に馬鹿じゃないの?』


美羽はこう言って小さく笑う。

俺は見てみたいんだ。
美羽が心の底から笑う笑顔を。


キミの今の笑顔は、
心の底から笑ってないだろ?



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