Heaven
~3.崩れ堕ちる恋心~
春の心地のよい風とは真逆な、どんよりと重い空気を俺は感じた。
なにかあるのでは?と、感じた。
目の前にいるさくらを見ていたら、馬鹿な俺でも分かる。
教室には俺とさくらしかいない。
窓の外からは、生徒たちの声が聞こえてくる。
『さくら…?』
何故いきなり聞いてきたのだろうか?
『ヒカルは誰が好きなの?』と。
『雅、これから時間ある?』
教室の時計を見ると、まだ12時前だった。
このあと予定はないから大丈夫。
それにさくらを一人になんか出来ない。
今にも泣きそうなのに。
『大丈夫だよ。じゃ、帰ろっか?』
さくらの頭をぽんっと触り、俺とさくらは教室を後にした。
靴を履き替えて、校門をくぐる。
俺は右へ行くか左へ行くか悩み、校門の前で立ち止まる。
すると後ろにいたさくらが、右を指差した。
『ん?右?』
『どっかゆっくり話が出来るとこ行こ?』