Heaven


誰かに嘘だと言ってもらいたかった。
夢なら一刻も早く醒めて欲しいと思った─…

でもこれは現実。
オレンジジュースの氷が溶けてカランという音を出す。

俺はヒカルと美加に釘付けになる。
見たくないのに見てしまうのだ。
なぜだろう?

心が─…痛い。

きっとさくらもだろう。ちらっとさくらを見ると、涙で顔が濡れていて、少しだけ化粧が落ちかかっている。


『さ…くら…』


俺達は同じ立場で、
さくらが傷ついたように、俺も傷ついている。
さくらは可愛い、それに優しい。
人のことを悪く言わない。
こんないい子なのに、ヒカルは何をやっている?

それすら理解出来ないでいる。
意味わからねぇよ。
人間不信になりそうだ。

『雅ぃ…さくら…やっぱり諦めた方がいいのかなぁ?』


さくらは持っていたハンドタオルで自分の涙を吹いた。

そんな姿を見たら、胸が締め付けられる。

お願い、泣かないで。


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