Heaven
会計をし、さくらのあとを追う。
どこに行ったのだろう?と思い辺りを見渡すが分かるはずがない。
俺は超がつく程の方向音痴だ。
するとこの道の右へ真っ直ぐに行ったところに、しゃがみこんでいる人の女の子の姿があった。
あのキャラメルブラウンの髪の色はさくらしかいない。
そして俺はしゃがみこんでいるさくらに向かって近寄った。
『さくら?どうした?なにか…』
さくらの近くに鞄から化粧ポーチや筆箱が散乱さている。
そしてさくらを見ると、顔を下に向けて、アスファルトにポタポタと涙の痕をつけていた。
『さくら…お前…』
小麦色の足からは、真っ赤で鮮やかな血が流れている。
段差で転んだようだ。
さくらの肩に触れ、体勢を整えようとした。
だがさくらの体には力が入っていない。
ひどい脱力感が彼女を襲っていた。
『…ヒカル…』