Heaven


ポケットに手を入れ、
俺達を見下ろしているのはヒカルだった。
さくらは鼓動をすることも忘れたかのように、止まったまま。
さくらの肩から感じられる。
そして俺の怒りは最高潮に達するのだ。


『ヒカルこそ何してんだよ』


いつもより低い声で言う俺。
俺はヒカルを睨みつける。


『…別になんだっていいだろ』

笑ってこう言うヒカル。そんなヒカルの笑顔が余計に腹が立つ。

なぜならば知っているから。
ヒカルが美加と仲良く手を繋いでいたという事実を。
その嘘が余計俺を苛立たせる。


するとさくらは散乱していたポーチらを拾い上げ、勢いよく俺たちから離れて行った。
『さくら』と呼び止める暇もなく、さくらは風のように去っていった。
さくらがしゃがみこんでいたアスファルトには、さくらの血がうっすらと付いている。

それを見た俺は、さらに胸が痛くなり、苦しくなるのを感じた。


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