Heaven


家へと着き、玄関のドアを開けた。
開けると中は薄暗い。
誰もいないのだろうか?いや、そんなはずはない。
母さんは働いていないし、いるはずだ。

靴を脱ぎ捨てて、廊下を歩く。
そしてリビングに向かい、ゆっくりとドアを開ける。


『母さんー…?』


母さんを呼びながらリビングの中を覗くと、リビングは真っ暗で、ただテレビの電源だけはついている。
テレビの前にはちょこんと座る母さんの姿。


『なにしてんの?』


俺は電気をつけて母さんを見下ろす。
急に明るくなった部屋に驚いたのか、母さんはビクッと反応をしていた。

『雅?もう何するのよ。せっかくいいところだったのに!』


『ごめん、ごめん!』


忘れていた。
母さんの趣味を。
母さんは映画が好きで、よくDVDをレンタルしてきては、このリビングの部屋の大きな液晶テレビで観るのが日課になっているのだ。

どうやら、俺は母さんの趣味の時間を壊してしまったみたいだ。


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