Heaven
『腹減ったー』
俺はこう大きな声で言って、冷蔵庫を覗く。
『今日お昼いらないかと思ったじゃない。今作るから待ってて』
母さんはDVDを途中で止め、エプロンをつけてキッチンに立つ。
俺はソファーに座って、今日あったことを話していく。
『そういえば、同じクラスにさ、さくらがいたんだ。ほら小さい頃よく遊んでた!あのさくら!』
『疾風君の娘さんね。すごい懐かしいわね。疾風君、こっちに戻ってきたのね』
冷蔵庫から必要なものを出して、母さんは料理をしていく。
きっとパスタを作っているのだろう。
母さんはパスタが好きだから。
俺も好きだからいいけれど。
『すげぇ懐かしい。でな?俺一年二組になった!』
すると突然、母さんは手を止めて、興奮して話す俺を見つめてこう言った。
『席…は?席はどこだったの?』