Heaven
今にも泣き出しそうな瞳をして、ゆっくりと俺を見つめてきた。
美羽の瞳に写る俺の姿が、ゆらゆらと気持ちよさそうに揺れている。
美羽の瞳の中へ吸い込まれそうになる。
それだけ魅力的だ、と思ったのだ。
『み、美羽?』
『…聞かないでよ』
『え…』
美羽の瞳からぽたりと落ちた透明な滴は、アスファルトの地面へと落ちていく。
その滴は少し崩れた円形型のような痕を残した。
美羽がまた泣いた。
昨日と同じように、
また泣いた…
その涙をみた俺は、
昨日と同じで何も出来ない。
なぜ『聞かないで』と言ったのか。
昨日美羽が言った『りく』という言葉を思い出す。
意味深な言葉ばかりを口にする美羽。
その理由を俺は知りたいと思ってしまう。
『どうして…』
次々に零れ落ちていく涙を、俺は拭き取ってあげられる程優しくはない。
違う、涙を拭いてあげたいけれど、
空に、この空に…
見られている気がしたんだ。