Heaven
もう一度、美羽の名前を呼ぶ。
もしこれで振り向いてくれなかったら、もう一度呼ぼうと考えていた。
『美羽?』
もう一度呼んでも、美羽の反応はない。
きっと俺のことが嫌いなのだろう。
中途半端な優しさをしてしまったから…きっと。
でもそんなことで諦められるほどの人間ではない。
『俺…優しくしたいから優しくしたんじゃないよ。ただ美羽が心配だっただけ…』
こう小さな声で言うと、その言葉に反応をしてくれた美羽がこちらを見た。
冷たい目つきで俺を見る。
『あたしのこと知らないくせに、なにが心配よ。それが中途半端なのよ』
明らかに美羽は怒っている。
じゃあなにをしたらいい?
どうしたらいいんだ?
今の俺には考えることが多すぎて、頭がパンクしそうだ。
何も言えなくなった俺は下を向いて、言葉を失う。
なにを言っても、
美羽の心には俺の気持ちなど届かないようだ…