死神に恋をした。
出逢い
出逢い
綾「もう、びっくりしたじゃん。」
母「ごめんね、よそ見してたら階段から落ちちゃって…」
綾「それにしても、よく骨折だけですんだね…」
母「お母さんは骨だけは強いからね。」
綾「じゃ、ちょっと売店で飲み物買って来るね。」
母「うん、よろしく。」
「もう1年か…」
「ずっと目を覚ましませんが…」
「そうだな…しかし、意識がないだけでしっかり呼吸はしてる。」
「では、点滴を続けるだけでよろしいでしょうか?」
「そうだな、それでしばらく様子をみてみよう。」
綾「大変な患者さんもいるんだなー。」
「320円になります。」
「アイツ、まだ起きないの?」
「そうみたい。」
「もう1年か…」
「彼女が死んでから、アイツ変わったもんな。」
「でも、ジンは生きてるし…」
綾「じ…ん?」
その名前を聞いた途端、忘れかけていた人を思い出した。
死神のジン。
アタシはいつのまにか、さっきの人たちが話していた人を探していた。
綾「失礼しまーす…」
さっきの医者たちがしゃべっていた部屋にたどり着いた。
綾「…アナタが…ジン…。」
枕もとのネームプレートには【山本ジン】の文字が。
そして、寝ていたのは紛れもない死神のジンと同じ顔だった。