死神に恋をした。

「ったく、遅かったじゃないの。」






やっぱり怒っていた。



母は買ってきた飲み物をがぶがぶ飲み終え一言言った。






母「綾、最近誰としゃべってるの?」




綾「え?」







突然言ったその言葉は、アタシの頭の中が真っ白になった。







綾「誰ともしゃべってなんかないよ?」



母「分かってるわよ、部屋の中で一人芝居みたいにしゃべってることぐらい。」



綾「あっ、あれね。今度の文化祭で役者になっちゃったからさ。」



母「ふーん、どんな劇なの?」



綾「…普通の平凡な女の子が死神に恋をするってお話。」



母「面白そうじゃないの。」



綾「うん、だからがんばってるの。」



母「ふ~ん。」






ごまかせたのかなんてわからない。



でも、少しずつ母が分かっているのには気付いていた。






その帰り、アタシは再びジンの病室へ向かった。






あの時は笑顔になれた…



でも、今は涙しか出てこない。






綾「…あと一人殺せば…人間に戻れるんでしょ…?だったら…アタシを殺してよ…。」






綾「ねぇ、ジン…貴方が幸せになれるのならば…アタシは構わないから。」






綾「…貴方の事が…」






「貴方の事が本当に好きだから…」





ヒロ「ふ~ん…貴方のためなら死んでも構わない…てか。笑」





もうひとつの黒い影が、静かにアタシを見ていた。

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