思い出なんていらない。

「でもね・・・ほんとは私バイク好きなんだ。

そして彼もバイクが好きだったの。

よく彼のバイクでこの海に来たんだ。

彼の後ろに乗って落ちないようにしっかりとしがみついてね・・・

でも事故があってから、バイクが見れなくなった・・」



「じゃあさ・・・少しずつさ、もう一度バイクの楽しさ思い出してみる?」


「でも・・・私あなたのこと何も知らないし・・・」


「これから、知っていけばいいじゃない?

俺ね実は、初めて君の事見たときすごい気になっちゃって

たぶん、一目ぼれ・・・って言うやつだよ・・・ダメかな?俺じゃ?」


「・・・ありがと。そんなこと言ってくれた人初めて。

みんな私のこと腫れ物でも触るように接して

バイクの話とかしてくれないし・・・淋しかったんだ。

すごいうれしいよ。」


「うん。少しずつでいいから・・・

ちょこっとずつバイクの良さ、思い出していこうよ」


そして、俺は彼女と付き合うことになって、

バイクの事を嫌いと言うこともなくなってだいぶバイクにも慣れてきたんだ。

「ねぇ。亮?」

「ん?なに?」

「バイク・・・バイクに乗せてくれない?」

「え!乗せてって・・・後ろに?ってこと?」

うん。だめ?」

ハッキリ言ってあんまり乗せたくないって言うのが本音。

だって、危ないし、俺が事故ったら怪我させちゃうし・・・・


でも彼女がココまで言うって言うのは

すごい決心をしてのことだとも思った。


「わかったよ。じゃあ近くまでな!それでいい?」

「うん。ありがと。」


俺と加奈は近くの海まで出かけることにした。
< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop