君を愛してる 〜だから死にたい〜
 「ううん、お母さんはお母さんだもん」

 そう言って笑う美里は紛れも無く『娘』だった。

 俺達は皆親が居なかったので『娘』や『息子』の顔を見せた事が無かった、だから今の美里の顔は俺達の知らない美里の顔。

 「あっ!」

 聡は何かを思い出した様に声を上げて、美里に問い掛ける。

 「そういえば結局入院した理由ってなんなんだ?」

 俺は見逃さなかった。

 一瞬にも満たない刹那、美里と美里の母親の視線が落ちたのを――
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