君を愛してる 〜だから死にたい〜
 「前に私が『一稀に抱かれるわけには行かない』って言ったの覚えてる?」

 「ああ……覚えてる」

 美里は少し俯いてから顔をあげた。

 その顔は抑えようの無い感情が溢れ、涙となって頬にいくつも筋を作っていた。

 それでも美里は笑ったんだ――

 とめどなく流れる涙に負けないように

 笑ったんだ――

 きっとその笑顔は俺ではなく聡にこそ向けられるべき笑顔だった……
< 116 / 241 >

この作品をシェア

pagetop