君を愛してる 〜だから死にたい〜
 その日の夜、時刻は既に日付が変わり2時間が過ぎようとしているにも関わらず、俺は眠りに就く事が出来ずに居た。

 「だから……一稀に抱かれるわけにはいかないの――」

 美里はそう言って肩を震わせ、声を抑える事すら出来ずに泣き崩れた。

 その姿はあまりにも弱々しく、たまたま訪れた美里の母親に促されるまま俺は病室を後にした。

 あの時、俺は何を言えばよかったのか……

 俺には掛けるべき言葉はなかった様に思えた。
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