君を愛してる 〜だから死にたい〜
 美希は俺の手を振りほどきながら言った。

 「いらない!!何もいらない!お兄ちゃん以外何もいらない!」

 そのまま走って行く美希を俺には止める事が出来なかった。

 身を切るような寒さの中、ふらふらと歩いていると聞き覚えのある声に呼び止められた。

 「一稀さん」

 振り向くと白いダッフルコートに身を包んだ砂稀が立っていた。

 「砂稀――」

 「お買い物ですか?何か顔色が優れませんけど……」
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