君を愛してる 〜だから死にたい〜
 周りの人間を傷付けて俺は逃げ出したんだ。

 久しぶりに部屋に戻り俺はカーテンを開いた。

 変わらぬ窓がそこにはあり、今にも

 『一稀さん』

 と聞こえてきそうな雰囲気だったが、もちろん砂稀が顔を出すはずはなかった。

 過ぎた戻らぬ時に想いを巡らせている俺はノック音で我に返った。

 「お兄ちゃん……入っていい?」

 「ああ、いいぞ」

 一年にも満たない時間でも、この年頃の女の子は変わる。
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