君を愛してる 〜だから死にたい〜
 美希は俺が家を出る時の美希より、遥かに大人に近付いていた。

 それはもう女の子ではなく、女性と呼ぶに相応しい姿だった。

 「ただいま、美希」

 俺は出来る限り優しく、笑顔で美希を迎えた。

 「お帰り……お兄ちゃん――」

 今にも泣き出しそうな顔をして美希は俺の傍まで歩いて来る。

 「どうした?久しぶりなんだからもっと嬉しそうな顔しろよ」

 言いながら俺が指で頬を突くと、我慢しきれなくなったのか美希は泣き出した。
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