君を愛してる 〜だから死にたい〜
 俺達はしばらく昔話に華を咲かせ談笑した。

 それはとても心地良い時間だった。

 同時に俺はもう最後にしようと心に決めた。

 次はきっと泣いてしまうから――

 失う物、全てを失う俺には想い出が辛かったから――

 涙の別れは柄じゃないんだ……

 「さてと、そろそろ行くか……」

 俺は名残惜しい気持ちを抑えて立ち上がった。

 「そうだな。家まで送ろうか?」

 聡も立ち上がって言った。
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