君を愛してる 〜だから死にたい〜
 俺はあてもなく街を歩き周り、目につく物を瞳に焼き付けた。

 自分が育った街――

 学校……

 通学路……

 今迄気にも留めなかった物が何故か懐かし感じがした。

 「美里――お前もこんな気持ちだったのか?こんな気持ちで……俺に笑いかけてくれてたのか?」

 もちろん返事が聞こえるわけもなく、俺の声は冬の冷気に当たり道端に転がった。

 「もうすぐ……俺も行くから――その時は一言だけ……」
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