君を愛してる 〜だから死にたい〜
 「一稀さん、お久しぶりです」

 そう言って微笑む砂稀を見ていたら、抑えていたはずの気持ちが沸き上がりそうになる。



 諦めたはずなのに……

 愛し愛される事は俺には幸せよりも絶望を突き付けるから――


 「あ、ああ、久しぶり砂稀」

 精一杯の努力で平静を装ってみたが声が上づっているのが自分でわかった。

 頭の中に

 『どうする?どうすれば――』

 と、ぐるぐる駆け回る。
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