君を愛してる 〜だから死にたい〜
 「はい……その聡の事でちょっと――」

 聡子は言葉を濁して俺を見た。

 真っ黒なセミロングのストレート、夏の陽射しに焼かれていない白い肌、お世辞にも大きいとは言えないが綺麗な瞳をしていた。

 何かが――

 再び俺は違和感を覚えて思案に陥った。

 何かがおかしい――

 わかりやすく言うならば、ベタなドラマの三流俳優を見ているような感覚。

 どこか作り物めいていて、不自然さを感じさせる。
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