君を愛してる 〜だから死にたい〜
 まるで金縛りにでもなったように、俺も聡もただ美里の背中を見つめていた。

 「……っんだよ!何でさよならなんだよ!?」

 美里の背中が視界から消えると同時に聡が叫ぶ。

 「……俺が――知るかよ」

 「……一稀、殴って悪かった、でも俺はお前を親友だと思ってる――じゃあな」

 言い残して聡は美里とは反対方向へ歩き去った。

 美里――

 聡――

 俺は何も知らなかったんだ。
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