君を愛してる 〜だから死にたい〜
 「すみません、ここに入院してる――」

 言いかけた俺は美里と名字を知らない事に気がついた。目で聞いた聡も首を横に振った。

 「美里……美里って名前の俺達と同じくらいの歳で入院してる子がいるはずなんですけど……」

 駄目元で俺は受け付けに座った医療事務の女性に聞く。

 「美里、美里――いませんね、美里とゆう名前の患者さんはいらっしゃいませんが……」

 「いない?そんなはずは……」

 事務の女性に詰め寄る俺の後ろで聡が呟いた。
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