君を愛してる 〜だから死にたい〜
 コンコン

 決して静かではない病院の白い廊下で、何故かノック音だけがやけに大きく聴こえた。

 俺はその時願っていた。

 その白いドアを開き、ベットに横たわって居るのが美里ではない事を。

 全くの別人である事を……

 「どうぞ」

 中から聞こえた声は美里のものでは無かった。

 横に引くとドアは殆ど音を立てずにスライドし、部屋の中をさらけ出した。

 窓際から人一人分程の隙間を空けてベットがあった。
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