君を愛してる 〜だから死にたい〜
 『初めまして――』

 俺と聡が頭は下げながら異口同音に言うと、女性は

 「ああ、貴方達が――」

 と、手を叩きながら言って自己紹介をした。

 「初めまして、聡子の母です――貴方達には美里の方がいいかしら?」

 俺と聡が返答に窮してていると、美里が助け舟を出して来た。

 「お母さんったら二人共困ってるじゃない、美里でも聡子でも私は私なんだからどっちでもいいの」

 そう言って笑った美里の笑顔は本当に心からくる笑顔に見えた。
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