シンデレラストーリー

第一章 ｰ光ｰ

「楓ー？先帰るねッ」

『えっ？ちょっ！』
チャイムが鳴ったと同時にそう言って教室をでる親友の心愛（ここあ）
まぁ、彼氏が居るから仕方は無いのだけど…

『フリーの私を置いていくか？普通…』
と、愚痴をこぼしながら私も家に帰る。



矢吹楓（やぶきかえで）
14歳。ごくごく普通の中学生…だった。
そう、この日までは



１人ボーッとしながら土手の道を歩いていると、先週位から始まったミステリー系ドラマ？の撮影をしていた。
その時私は近くで見ようと思い土手をかけおりた。

「こいつはいい人材だ」

と言いながら強面の人が土手をかけ降りてる私の方に近づいてきた。


全く状況が理解できない私に、監督さんっぽい人が、テレビでよく聞くカンペってやつに「さけんで！」と書いていたから、おもいっきし

『きゃぁーーーーー！たすけてー!!』
と、叫んだ。

「未菜ッ!!」

「…フハハハ！」

次々にやり取りが進んでいく中、また監督さんっぽい人が、カンペってやつに次は、「泣いて！」と書いていた。

…いや、素人にそんなこと無理ですけど？
ま、取り合えず泣きます。
てか、私は未菜ですか。

『…ひっく、ぐすっ』

「カーーーーーット！オッケー！良かったよ！詩織ちゃん。」

…？詩織ちゃんて誰？私間違われてるよね
『…詩織じゃなくて、楓です』

「またまたー!!あんなに演技上手いの詩織ちゃんだけだよ！」

だから、詩織ちゃんじゃないんだけど？

と、そこに私と同じくらいの子だけど大人っぽい子が私達に近づいてきて

「すいませぇーん！おくれましたぁ、」

と明らかに自分可愛いです。ってな感じの甘えたようなぶりっこのような声で頭を下げる。
私この人嫌いだな。

「撮影、できますかぁ？詩織、ちょっと撮影おしちやっててぇ…ってこの人誰ですかぁ？」

詩織ちゃんって子、今頃私に気付いたみたい。見た目優しそうな感じだけど腹黒そう…

「この子、楓ちゃんだよ」

「和君っ！」

あ、この人知ってる。今大人気の岡田和也（おかだかずなり）
きっと詩織ちゃんは、この人のことが好きなんだろうな。見てると分かる。