お風呂の神様!
◆3◆
イチルが住んでいる街は、一応ギリギリ首都圏にあるのだが、夏は涼しくて、冬は暖かい。
雪なんてここ数年見たことがない。
関東地方全域に雪の予報が出ていても、降るのは雨ばかりだ。
だからイチルは雪が好きだ。
多分、イチルの街の人達も、雪が好きだと思う。
雪に、憧れを持っている。

『ぅひゃー』
新幹線で雪山温泉駅に着き、車外に出たイチルは、思わずぷるぷると身震いした。
空気が冷たい。
ほっぺにあたる空気が冷たい。
肺に入ってくる空気まで冷たい。
今日はシャツの上にニットを着て、更にコートまで着ているのに!
発車ベルが鳴り、新幹線が、次の駅を目指して出発して行った。
『!』
そして、目の前に広がったのは雪を被った町並み、と白い山々だった。
『雪だ!』
イチルの目がキラキラと輝いた。
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