Honey Jewel~密な関係~



「凜さんが見つかったのは、凜さんの自宅の裏庭でした」


「裏庭・・・」


「凜さんのお家は国内で1番のシェアを誇る、電子機器会社の社長の一人娘でした」


「お金持ちだったんですね」


「ええ。それ故に社長も忙しく、遊んでくれたりはしてくれなかったそうです。凜さんが亡くなってから悔やんでいました。そして、凜さんはその悲しみを紛らわすために、裏庭にたくさんの花を植えました」


「花・・・・」



私もそうだった。


小さい頃、お父さんは仕事が忙しくて遊んでくれなかった。


私も自分の家の花壇に大好きなひまわりを植えて、夏になるまでワクワクして水やりをしていた。



「種類は色々でした。綺麗でしたよ。夜になると、月明かりに照らされて」


「そ・・・だったんですか」



お金持ちだからって何でも幸せってワケじゃないんだ。


むしろ、貧乏よりも悲しい現実を乗り越えているのかもしれない。


それに、愛している人が自ら命を絶っている。


こんな事実、私は耐えられない。



「凜さんが亡くなってから、コウキ様は家に帰ってこなくなりました」


「そうとう・・・遊んでらっしゃったんですね」


「ええ。妊娠した女性、私のことどう思ってるのと門の前で泣き叫ぶ女性。様々でしたよ」


「・・・・コウキくん・・・・」



可哀想


なんて言葉で片付けたくない。


可哀想じゃない・・・・。


なんて言葉が彼に当てはまるのだろう・・・。






< 73 / 130 >

この作品をシェア

pagetop