明日への扉
「希は、ホントにそれでもいいの?」



加奈の真っ直ぐな目が、私の心に突き刺さる。





ほんとは…



嫌だよ。






そう言おうとしたけど、声を出すと泣いちゃいそうで。




涙がこぼれないように、笑うしかなかった。




この事は、三人の秘密になった。










それから1週間の休みとテスト期間を終え、また部活が再開した。



千佳から篤史の話が、また出るのかと憂鬱だったけど。



彼女は、その話をほとんどしなくなった。




それは、篤史に付き合ってる人がいるらしいという噂を聞いたからだった。





「でも、諦めないから。私の魅力に気づいてもらうんだー。」



無理して笑う千佳が、私とダブッて見えた。



千佳も、恋する女の子なんだ。




ヒョロリとデカイ私に比べて、千佳は小柄で可愛らしい。



篤史が誰と付き合ってるのかは、知らないけど。



普通の男性なら、千佳にアタックされて悪い気はしないと思う。





どっちにしても…




私は、ずっと片思いのままだ。










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