明日への扉
みんなが制服に着替え始めたころ、私はジャージのまま、バケツに水を汲みに行く。




今日は、部室の掃除当番だった。



みんなを送り出し、せっせと掃除する。




こんな日は、何かに集中した方がいい。






「冷たいー! 」



洗い場で、雑巾を洗う。



2月に掃除当番なんて、ついてない…



冷えて真っ赤になった手に、息を吹きかける。








『ゴトン…』



同じ洗い場の少し離れた所に、バケツを置く人影が見えた。






……薄暗いけど、すぐに誰だか分かった。




今一番会いたくて… 会いたくない人。





柴田篤史







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