明日への扉
「…来年も余ったら、くれよ。」



そんなこと…


言わないでよ。




「もう… あげない。」




「…なんで?」




「千佳に… チョコもらったでしょ? 同じテニス部の、今村千佳。あの子が柴田を好きな事、テニス部みんなが知ってる。 みんなが… 千佳の事を応援してる。 だから… もう、あげられない。」





私の言ってる意味、分かってくれた?




分かってくれたから…



何も言わないんだよね。








「じゃ、バイバイ。」




黙って立ってる篤史の横をすり抜け、自転車置き場へ走った。





もう、あそこに立っていられなかった。





やっと止まった涙が




また、溢れそうだったから。









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