明日への扉
ドックン… ドックン…




待ってる間、心臓の音がどんどん大きく感じる。






部室から、人影が出てきた。




あの肩幅は… きっと篤史。



うわっ、どうしよ。



どんな顔してたら、いい?



うぅっ… 逃げ出したい。



でも、足がすくんで動けない。





人影は、どんどん近づいてきて…



ついに照明の下まで来た。





あっ…れ?



その人は、さっき呼びに行ってくれた人だった。




「あの… 柴田さん、もう帰っちゃったみたいです。」



申し訳なさそうに、頭をポリポリかいてる。








「あ… そう… どうも… ありがと…」



身体の力が、一気に抜けていく。



ヘナヘナと座り込みそうになるのを、必死に耐えた。





「あの、伝言あったら、伝えておきましょうか?」



「いっ、いいの。ホント、ありがとね。」




気を遣ってくれた後輩くんに、どうにかお礼だけ言って、自転車まで戻った。









< 157 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop