明日への扉
「えっと… はい。」



上手い返事も見つからず、そんな事しか言えない。




「今年は同じチームなんだよ。優勝目指して、頑張ろうな!」




日焼けした顔、真っ白い歯、笑顔が爽やかすぎて…



コクリと、うなずく事しか出来なかった。




「ありがとうございました。」と保健の先生に頭を下げて、その人はグランドを横切って行く。




そういえば、同じ色のハチマキをしてる…






「今の人、カッコよかったね! 希の知り合い?」



後ろ姿をボンヤリ見送る私に、美穂が近づいて来た。




「ううん、知らない。ただ、私が走るのは、見てたみたい。」



「へぇー… モテるじゃん!」



「なっ、なんでそうなるのよ!」



擦り寄ってくる美穂の背中を、思わず叩いた。





でも… あんな風に声をかけられたのなんて、初めてで。




もう、会えないのかな…




ちょっと、残念かも。






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