明日への扉
「おはよっ! 希ー、今日も見てんの?」
教室に入る前に、加奈が寄って来た。
「おはよ。 …へへっ。」
最近の私の日課。
少し早く来て、2階の廊下から、真下にある自転車置き場を眺める。
それは、先輩が来るのを見るため。
毎朝、爽やかな笑顔で友達と話す先輩を見るだけで、幸せな気分になった。
「そんなに好きならさー、告白しちゃえば?」
放課後、部活に向かう途中で、加奈が切り出す。
「うちのクラスでも、話題になってるよー。『隣のクラスの女子は、誰を見てるんだ』って。」
美穂が、私の顔を覗きこむ。
「えっ!そんな事言われてんの? やだ、困ったな… でもさ、私は見てるだけでいいんだ。 先輩と付き合いたいとか、そこまで考えてないし。」
「え… 希、気持ち切り替えたんじゃないの?」
ズキン…
美穂の言葉が、胸に刺さった。
自転車置き場を見てると、篤史も目に入る。
先輩を見ると、幸せな気分になる。
篤史を見ると、苦しくなる。
返す言葉が見つからず、曖昧に笑うことしか出来なかった。
教室に入る前に、加奈が寄って来た。
「おはよ。 …へへっ。」
最近の私の日課。
少し早く来て、2階の廊下から、真下にある自転車置き場を眺める。
それは、先輩が来るのを見るため。
毎朝、爽やかな笑顔で友達と話す先輩を見るだけで、幸せな気分になった。
「そんなに好きならさー、告白しちゃえば?」
放課後、部活に向かう途中で、加奈が切り出す。
「うちのクラスでも、話題になってるよー。『隣のクラスの女子は、誰を見てるんだ』って。」
美穂が、私の顔を覗きこむ。
「えっ!そんな事言われてんの? やだ、困ったな… でもさ、私は見てるだけでいいんだ。 先輩と付き合いたいとか、そこまで考えてないし。」
「え… 希、気持ち切り替えたんじゃないの?」
ズキン…
美穂の言葉が、胸に刺さった。
自転車置き場を見てると、篤史も目に入る。
先輩を見ると、幸せな気分になる。
篤史を見ると、苦しくなる。
返す言葉が見つからず、曖昧に笑うことしか出来なかった。